吉田です。今回は2,800回目のブログ更新!

 実は今年、ボランティア受け入れ現場は変化への対応を迫られた年でした。林久美子さんが海外事業部の部長として異動したことに加え、私も浅野さんも、国内支部全体を預る立場が加わりました。これまで職員が私一人だけの時も、地元の超リピーターの大槻さん(84歳)が、2012年以来、ほぼすべてのボランティア受け入れをサポートしてくれていました。その大槻さんも今年は、手伝っている「さつまいも・にんにく」畑に大きな買い手がついてさらに忙しくなりました。そのなかで今年のボランティア数は完全にコロナ禍前に戻り(上半期で葛刈り941人)、私の宮城出張日数は過去最少ペース、年100日をしっかり下回れそうです。なんとかうまく切り抜けました。

 変化の今年、なんと言っても一番良かったのは、無事故も更新できたこと。そして、新顔含めた「大槻さん」的存在が増えたことです。超リピーターの誰かがボランティア受入日だけでなく、前日準備にも来てくれました。職員以外にも複数の目があり、高いコミュニケーション力を発揮してくれる。そのことが無事故にもつながっていると振り返っています。そして、各社・各団体の引率者の意識の高さも大きく影響しています。これら皆さんたちの存在は、名取海岸林ならではの財産だと考えています。

 今期はまだ半ばではありますが、心から御礼申し上げます。

 当然、全員は紹介できませんが・・・たとえば地元の鈴木さん、石見さん、角田さん・・・ピンポイントで映ってる今年の写真がなかったです。

 吉田です。10月5日、とうとう葛刈り最終日を迎えました。これだけやればと、心底清々します。正直なところ毎年そう思いますし、それでも嫌気がささないのは何故だろう?と、今年も何度も思いました。5月下旬からこの日まで、ボランティアだけで941名が怪我なく従事いただきました。今年は過去14年で最も多くの地元からの助太刀(超リピーターの指導役)にも恵まれました。無事故更新は、緊張感を持ってきてくれる皆さん、そして各社・各団体の引率者のおかげ、地元指導役のおかげです。みなさんの無言の励ましのおかげで我々も頑張れるんだと思います。名取のクロマツは、これまでプロ・ボランティア27,000人に育てていただきました。幸せなマツだといつも思います。最強の海岸防災林への道を歩んでいると思います。

 今日は、8月上旬~9月末までのボランティアの作業で見逃した葛刈り、いわゆる「残党刈り」です。残党というほど相手は少数ではないですが、今日も朝から、意気軒高なムードがありました。

 大物葛は、刈ってから1週間たってもまだ葉が青いままということもありました。呆れるほどのタフさ。それでも林内には、8月以降の皆さんの苦闘の跡がはっきり。葛の落葉がすごい。

 これから11月中旬までは、生長モニタリング調査です。昨年の調査記録はコチラ。https://oisca.org/kaiganrin/2024/04/25/monitoring_report/

 吉田です。今期の葛刈りも残る2日。5月末から数え921人のボランティアにご尽力いただきました。最北端の閖上漁港から始めて、この日は仙台空港誘導灯のすぐ南の2015年植栽地で作業。よくぞ、はるばるこんなところまできたものだ。

 そもそも、今期のボランティア受け持ちは名取市海岸林北半分。お盆が明けたら、2巡目をと思っていました。ですが、先日のブログで紹介した通り、プロも精一杯作業する中で、「ボランティアで南半分も頼む!」と佐々木統括から指示がありました。お盆が明けた8月24日、東北電力労組宮城県本部青年部の作業からは、普段の手法からスピード重視に切り替え、松のてっぺんにまで登る、大物葛の根元狙いに的を絞りました。2巡目を期していた場所への悔いが残りますが、ボランティアによる人海戦術の評価が、10年を経て上がった証とも思いました。

 1週間前、佐々木統括に「現状ではあの場所にボランティアを入れるのは難しい」と意見を伝えたその数日後、松島森林総合の佐々木代表から「誘導灯の南側、ボランティアが作業しやすいように、伐採列の下刈を終えた。ハチがいないか点検もした。ボランティアで出来るよ」と連絡がありました。私自身も東京海上来訪前日、県職員OBの超リピーターの遠藤さんと現場を点検しました。顔には蜘蛛の巣、服はバカ(アレチヌスビトハギの種)だらけになりましたが(笑)

 過酷な現場だとは思います。「吉田はスパルタ」と身内からも言われますが、当然最大限配慮しています。「戦力としてボランティアを位置づける」「ちょいボラは受けない」という基本方針ですから、今後も進め方に大きな変更はありません。林業会社在職時代(2007~2009年)、ボランティアやNPO、が、どのぐらいプロからバカにされているか思い知らされました。民間の林業の重鎮からは、オイスカの国内の森林保全活動を「お遊び」と面と向かって言われたこともあります。海岸林の仕事を始めたころも、オイスカを揶揄する声が自然と聞こえてきました。いまに見てろと思い続けました。本気の現場には本気のボランティアが集まると信じてきました。その結果ののべ15,000人のボランティアです。

 私にとって東京海上さんは、1994年の新人時代、都内企業会員すべてを受け持った時からのお付き合いをさせていただいています。1998年にはマングローブ植林について丸の内の本社ビルでご相談を受けました。いまに至る5ヵ国での5年×5期目、この巨大マングローブ再生のきっかけに関われたことは、幸運かつ光栄。しかも、名取の海岸林では社員の皆さんと直接相対することにもなり、深いご縁を勝手に感じています。

東京海上日動HD「マングローブ植林」

https://www.tokiomarine-nichido.co.jp/world/greengift/mangrove/

 名取の海岸林と、マングローブをはじめとするオイスカの世界での活動はつながっていると考えています。植える前後の苦労は、名取も海外も同じです。現場の者同士、お互いを励みにして、気持ちはいつもつながってきました。名取の海岸林は、海外現場の小さな出店のようなものです。一般の方にとって、海外の現場には簡単に行けないと思いますが、名取で体感すれば、海の向こうに思いを馳せて、想像できる人もいるはずです。林業会社を退職しオイスカに戻るとき、そして戻った後も、「林業マンの生き様を多くの人に伝えてほしい」社長に言われました。今後も、森林再生の実際の一端を多くの人に体感してもらいたいと思っています。

 ご担当から「40名参加!」と聞いて驚き、とても嬉しく思いました。名簿を見ると、仙台支店自動車営業部を中心とするリピーターも多く。なかでも、本社役員さんと経営企画部長さんは、今月、タイ南部ラノーン県のマングローブの現場のはしご。https://ameblo.jp/oiscathai/entry-12868330006.html

 今回迎える現場は私にとっても最悪レベルの葛。わざと東京海上さんにぶつけたわけではないことは先の文章でご理解いただけたと思いますが、この数年、タイムアウトで不完全な施業だった場所。お盆明け以降は、名取の中では酷い場所続きです。それを承知で、最強の地元助っ人7名が名乗り出てくれました。

 長くなりました。続きは後日。海外事業部の林久美子部長も書いてくれると思います(笑)

 最後にご案内を一つ

 11月26日(火) このプロジェクトに震災以来ご指導いただいている治山の権威、東大名誉教授の太田猛彦先生(オイスカ顧問)、東京海上さん(今回も参加の経営企画部長の小橋さん)、住友化学さん、そしてわがオイスカ、林久美子部長が登壇するトークイベントを企画しました。オンラインもありますが、ぜひ会場に!

8・9月のいきもの

2024年9月29日( カテゴリー: いきもの )

 吉田です。葛刈りで忙しく、めっぽう暑く、落ち着いていきものを撮影する余裕がない季節。でもできるだけ撮影するよう心掛けています。これも記録ですから。今年は、海岸林後背地のイチジク畑で、農家がカラス除けの爆発音を鳴らすようになり、鳥が少なくなったような(笑)

 まずは8月撮影分。いつもながら種名の同定はご容赦ください。

 次は9月撮影

 吉田です。じつは私、去年から関西支部事務局長を兼務しており、9月21日(土)、支部として初実施。支部HPと口コミで呼びかけ、上村良成支部会長を団長に、USJ労組、JR西労組、UAゼンセン大阪府支部、住友化学社員有志、前田建設東北支店社員ほか20名に、現地集合・現地解散でご参加いただきました。「当日の写真報告」は、支部HPをご覧くださいhttps://oisca.org/kansai/

 今回のツアーは関西支部上村会長の発案(念願)。オイスカ法人会員のJR連合の企画部長として、震災直後から海岸林再生プロジェクト支援を開始し、ボランティア参加するなどいまも続いている活動をスタートさせてくれました。JR連合の荻山市朗会長も、同労組一行を毎年2回率いて作業に来てくれています。私、2004年にタイ植林ツアーで一緒して以来懇意にさせていただいています。

 2017年、上村さんと並んで草刈りしているときに、隣の大学で、同じ時期に軟式テニス部に属し、毎年練習試合するなかで、確実に対戦させていただいた間柄ということが分かりました。ということは、30年来のお付き合い・・・(笑)

 2年前、関西支部事務局長に私がなると決まり、新会長も探さねばならず、迷いなく上村会長に相談に行ったところ、「断る理由はない」とその場で即答。コンビは一瞬で決まりました。このくだり、話せば長くなりますが、以来、オイスカ関西支部がどんな活動をしているか支部のHPをご覧ください。1年半で25回以上更新しています。 https://oisca.org/kansai/

 今回は雨で、一切作業できませんでした。今回の参加者の皆さんは、それぞれのタイミングで、各自リベンジに来てくれるタイプだと思ってます。まとまって何か・・・というのは、すぐ先の近い将来。オイスカ関西支部行事への参加の時か、そのあとのオイスカ関西第一迎賓館が先でしょう。

 

プロの手による葛枯殺

2024年9月24日( カテゴリー: 現場レポート )

 吉田です。9月20日(金)、明日の関西支部ボランティアツアーのために一日早く来仙したJR西労組の尾崎さんに同行いただいて、車で名取市海岸林北半分の「巡視」をしました。ツアー終了後の22・23日は一人で全域を歩いたり。

 確認箇所は、海岸林西側5㎞、メインの着眼点は、名取市海岸林再生の会の手による「法面」葛枯殺、松島森林総合の手による「林内」葛枯殺の進捗具合。

 当然、完全に葛を駆除できたわけではありません。心残りもあります。来年の作戦を練りながらの巡視でした。プロ・ボランティアともに、今年も存分に葛と格闘した跡はわかります。この奮闘は、どこのどの海岸林にも決して負けないと思います。事故もなく、毎度ホッとします。

 とにかく、最終日の10月4日まで最善を尽くします。

 吉田です。コロナ禍前以来久々、3,000人も集まるUAゼンセン定期大会での機会をいただきました。日本最大の労働組合です。ご支援いただいている各単組やUAゼンセン地方支部の皆さんと一気に会える日。懐かしい、かつてのご担当との再会、おかげさまで元気で頑張ってますと伝えられる日。楽しみにしていました。この日で退任される松浦昭彦会長にも直接お礼をお伝えすることができました。

 当日の模様は、オイスカ本部ブログで鈴木和代課長が書いてくれていますので、こちらをご覧ください。https://oisca.org/blog/b240926/ 

 吉田です。葛刈りは10月初旬までが「工期」。年配者が多く、酷暑の8月の作業を避けた林業会社と名取市海岸林再生の会の合同チームも、林縁・協定区域外周などでの薬剤散布に動き出しました。

 ボランティアチームは受け持ちの名取市海岸林北半分のすべてで1回刈り以上を終えたため、プロ受け持ちゾーンの南半分に進出。去年プロがやりきれなかった誘導灯北側300m×100mの、一大繁茂ゾーンを任されました。

 すでに8月お盆前後で、UAゼンセン14名、東北電力宮城県本部青年部40名+地元助っ人10名で300m×20mを終え、9月6・7日の全国からの90名(UAゼンセン、第一三共、仙台トヨペット、矢崎エナジーシステム仙台支店、IBEXエアライン、鹿島建設東北支店のほか個人多数)で300m×80mを無事終えました!警戒したアシナガバチにも刺されず。

 つまり、154名で3ha(去年の閖上最北端は3haを2回刈り、2ヵ月700人でしたから)。しかしそれにしても、あの場所にしては異常に早いです。見逃さなければ、手首や私の二の腕の太さの葛もあるあの場所で。

 今期後半は、潔癖造林を排除し、マツの上に登ってゆくツル、大物狙い中心に作戦を変えています。そうでないと「工期」までに終わらないし、葛がマツの上に覆いかぶさったままだと本当に枯れるので。本当は地を這う根も徹底的に攻めたいですが、まずはスピード重視。たとえ不完全でも、一刻も早くマツに少しでも多く光を与えることを優先して。

 佐々木統括から、「この調子でいい。次のボランティアは誘導灯の南側を頼む」と指示がありました。9月21日(土)のオイスカ関西支部&USJ労組&住友化学社員他有志約20名、28日(土)の東京海上約30名?、10月5日(土)のUAゼンセン14名、そして地元助っ人の皆さん、どうぞよろしくお願いします。飛行機を見ながら、頑張りましょう!

 吉田です。お盆明け、8月23日に自分的に毎年恒例の全域踏査をしました。(お盆前もしますが)それで秋口までの仕事の多さ(葛の繁茂)に、頭を抱えるのがお決まりです。10年変わらずです。

 さてどうするか。

 佐々木統括とは、お盆前に意見交換・方針確認しました。プロも9月から加速すると聞きました。その一方、10月上旬までの正味1ヵ月、ボランティアは残り6回、200名。正直、倍ほしいところ。潔癖なまでに葛を除去したくなる気持ちは強いです。ですが、そこを振り払って、1年手付かずの場所がないように、全域に、酷い場所優先で手を入れようと相談しました。折り合いのつけ時です。こういう判断こそ、「潔癖造林」「造園と造林」との違いだと思います。

 毎年の葛刈り時期を前半・後半に分けて考えていますが、前半は地を這う根も含め、一網打尽、目指せ2回刈りの勢いで。後半は「潔癖」を排除する。特に今年後半は、プロの手が回らない一番酷い場所の助太刀を任されました。したがって、例年以上に大物重視、スピード重視。つまり、マツのてっぺんまで登りきる葛の根元のみ狙う。地を這う根は翌年の仕事とする。さらに7年、10年、何年かけてでも粘り強く、葛の勢力地図を減らす。

 最悪の場所の先陣を切る東北電力労組の若い衆、この意味、わかるかな?

 そういう想いとは別に、「青年部」楽しみにしていました。イキのいい若い人が来てくれる。震災当時は、小学校5年生とか、中学校1年生。「葛って知ってますか?」と聞いたら、半数以上が知らないと。そりゃそうですよね。

 大半が葛を知らない若者に対し、伝わるか不安もあった「100点満点を目指すな!70点でいい」と言わんばかりの葛刈りの指示でしたが、結果を言うと、大物葛の根、ほとんど見逃しなし。これは嬉しかったです。驚きました。さすが、電力マン。しっかり話を聞いてくれたのでしょう。朝は大人しかったけど、互いに声をかけ合う様子が徐々に増え、だんだん大きい声で返事をしてくれるようになり、こまごま言う必要もなくなり・・・。この日の地元助っ人は6名。最強メンバー。この皆さんの実践指導力。青年部を率いた菊池さんのリーダーシップ。みなさんのおかげでした。ありがとうございました。

 10月上旬までのメインターゲットは、「動画4分30秒の中央部(航空機誘導灯の手前まで)」です。その左側を今回の東北電労の皆さんが仕留めてくれました。9月6日のUAゼンセン、7日の公募、21日のオイスカ関西&USJ労組、28日の東京海上、10月4日のUAゼンセン、以上200名の皆さん、よろしくお願いします。ちなみに、まだアシナガバチの巣は1つしかありませんでした。今年は少なそうですが、注意しましょう。

 吉田です。さきほど、フィリピン最北部アブラ州での第27回公募ツアー(オイスカ関西研修センター企画)に加わっているオイスカ職員から写真が届きました。

 その現場はこういう場所です。オイスカアブラ農林業研修センターのデルフィンさんは、3回名取に来ています。我々の道具を見て、欲しいと言っていたのを忘れませんでした。

 名取では、2020年に鍬と苗木袋の用事は終わりました。コロナ禍で海外現場も木を植える機会が激減しましたが、それももう過ぎたこと。一番活躍できる場所の一つに、各20を運びました。うち半分は、3月に私が行ったときに。残りは今回のツアーに託して。

 現地で木を植えるときは、苗木は鉄製の背負子で運び、とても重い鉄パイプの先を潰したものを使って、その重みで穴を掘ります。1997年に私が初めてここに行った時もそうでした。鍬のほうがいいです。穴を掘るだけでなく、写真の通りの「山の筋」、土壌流失防止のベットを作ったり、乾季には防火帯をつくるにも使うでしょう。

 早速、名取発、世界。活躍してくれて嬉しいです。次の便では、鍬の楔(くさび)と柄の予備や、山火事消火時に背負って使う「ジェットシューター」を、送ってあげたいと思っています。

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