オイスカ 国内ニュース アーカイブ 2015-2011

日本国内の森づくり 林野庁長官が山梨県の現場を視察 今後の活動推進の励みに

2015年10月28日 ( カテゴリー: 国内ニュース )

今井長官(左)に企業との協働による森づくりについて説明をする早川町の辻一幸町長と啓発普及部参事の田中美津江

9月25・26日、林野庁の今井敏長官が山梨県の森林・林業に関わる事業を視察した際、同県内で展開するオイスカの活動地にも足を運びました。
早川町では25日、木材の利用を通じた地域再生を目指し、同町を含む水源地域の自治体と産官民が連携し立ち上げた「やまなし水源地ブランド推進協議会」(事務局オイスカ)の取り組みや、三菱自動車工業㈱と協働で整備を実施している「パジェロの森」を視察。翌26日、県をはじめ24の企業・団体、専門家などと協働する鳴沢村の「富士山の森づくり」事業の現場には、山梨県の新井ゆたか副知事も同行しました。
同事業では、複数かつ多様なセクターが意見を出し合いながら活動を進めていく「協議会方式」や、調査結果をもとに毎年の作業内容を検討する「順応的管理」など、オイスカが実施する森づくりの手法や、事業のこれまでの歩みを説明。オイスカの取り組みについて理解を深めていただくことができ、今後の活動推進に弾みがつきました。

「富士山の森づくり」 環境の厳しさを実感 風雪被害の苗木を補植

2015年7月6日 ( カテゴリー: 国内ニュース )

好天に恵まれ、時折富士山の姿を望みながら作業が行われた

10年計画で進められている「富士山の森づくり」は、スタートした2007年から11年までの5年間で植栽を終え、12年以降はシカなどから苗木を守る獣害防止ネットの取り付けといった管理作業を中心に行ってきました。一部風が強いエリアでは、ネットが飛ばされたり、雪の重みでネットと一緒に苗木も倒れるといった被害が出ています。今年度はそのような箇所に3回にわたってヤマザクラやカエデなど1200本が補植されました。

5月30日の活動日には、首都圏を中心に長野県や福島県からも参加者が集まり、総勢182名で作業を実施。強風や積雪といった厳しい環境下で苗木をしっかり根付かせるため、参加者に丁寧に植えるよう呼びかけ、ネットも支柱を増やすなどの改善がなされました。

来年には10年の節目を迎える本プロジェクト。富士山の過酷な自然環境での森づくりには人の手による育林作業の継続が必要であるとし、10年目以降も森を見守り育てていくための方策を山梨県など関係各所と共に模索しています。

「富士山の森づくり」 植栽地の保育活動順調約4千本にシカ害防止ネット付け

2014年6月27日 ( カテゴリー: 国内ニュース )

オイスカの全国組織では、
静岡、長野、愛知、山梨、首都圏の各支部と福島推進協議会、
また中部日本研修センターの研修生らも参加した

8年目を迎えた「富士山の森づくり」では現在、2007年のスタートから11年までに植栽され1〜2mほどに生育した木に、シカ害防止ネットの取り付けが行われています。通常は、寒さやえさ不足により越冬できない個体が生じ、一定に保たれるシカの頭数が、近年の温暖な気候が災いし冬を越す個体数が急増、枝葉や樹皮の食害が深刻化しています。植栽時にも、数年で分解し土に還る生分解性のウッドガードでシカ害対策を行ってきましたが、12年からは耐久性の高いネットを巻き付け保護する活動が進められています。

親子で参加する姿も多く見られた

5月31日はオイスカの呼び掛けにより、会員をはじめ「富士山の森づくり」推進協議会のメンバー企業社員やその家族ら約150名が集まり、ネットが巻かれました。在京の大使館からも7ヵ国9名が参加し、「富士山は私たち外国人にも特別な場所。そこで活動できてうれしい」「植えただけでは森にはならない。人の手で守ることが大切だと実感した」といった感想が聞かれました。
本年度のボランティア活動は9月まで続き、合計3千750本にネットが取り付けられる予定です。

「富士山の森づくり」推進協議会 世界文化遺産を知る勉強会開催 取り組みの意義を再確認

2013年9月25日 ( カテゴリー: 国内ニュース )

興味深い講義内容に参加者はじっと耳を傾けていた

9月25日、「富士山の森づくり」推進協議会の参画企業・団体・行政・研究者らが集まり、勉強会が開催されました。富士山は本年6月、第37回ユネスコ世界遺産委員会において世界文化遺産に登録されました。その価値や取り組みについての理解を深めるため、「世界文化遺産」と「富士山の森づくり」をテーマに実施されたもので、今回の登録に当初より携わってきた静岡県の文化・観光部交流企画局 富士山世界遺産課の小野聡氏より、世界遺産の持つ意味や今日までの道のり、課題などについてお話しいただきました。 同氏は「富士山の森づくり」の活動エリアがその重要な構成資産区域に含まれていることに触れ、活動が森林や生物多様性の保全にとどまらず、世界遺産保護にも深く関わっていると指摘。また今回の登録はゴールではなくスタートであり、これからの保護管理が重要であるとのお話に、参加者からは「活動への思いを新たにした」との感想が聞かれました。

「富士山の森づくり」5年間の植栽を終え育林へ シカ害対策ネットを取り付け

2012年7月21日 ( カテゴリー: 国内ニュース )

親子での協同作業。右奥には分解したウッドガードが

10ヵ年計画で行われている「富士山の森づくり」は今年で6年目を迎えました。昨年で全ての植栽が終了し、今後は苗木を育てる育林活動が中心となり、今年7月と9月にはシカ害対策のネット付け作業を行いました。
植栽時には、シカ害対策として約5年で土に還るように作られた生分解性プラスチックのウッドガードを取りつけましたが、富士山特有の風雨によりすでに分解し始めているものもあり、その割れ目などから出ている苗木がシカの食害に遭っています。山梨県が対策を講じているものの、現在も活動地周辺には適正数以上のシカが生息しており、さらに長期的なシカ害対策が欠かせないと判断し、新たにネットを設置することを決めて実施したものです。
企業の参加者の中には、家族と共に作業をする姿も見られました。また、9月1日の活動日にはパプアニューギニア、バングラデシュ、アメリカ各国大使館からの参加もあり、パプアニューギニアのジョン・クレロ・ドゥサバ大使は閉会式で「日本人の心意気を見た」と語り、富士山の世界遺産登録への期待も述べられました。参加者らは「管理作業の大変さが分かった」「動物との共生についても考えさせられた」といった感想を互いに共有していました。
今年度の「富士山の森づくり活動」ボランティア実施団体は次のとおりです。

7月21日 昭和シェル石油㈱
9月1日    いすゞ自動車㈱、KDDI㈱、㈱ニコン、オイスカ(以上4団体合同)
日本鉄道労働組合連合会
9月22日 豊田通商㈱、オルビス㈱

「富士山の森づくり」第2ステップへ 環境教育など森を守り活かす取り組みを実施

2012年6月1日 ( カテゴリー: イベント )

2007年より10年間の計画で活動を続けている「富士山の森づくり」は11年度までに植栽活動が終了し、12年度は次のステップへと動き始めました。具体的には、豊かな森を育むために、森を育て活用する中で多くの人が森に触れる活動を検討・実施しており、シカ害対策などの苗木の管理育成に加え、環境教育や啓発活動にも積極的に取り組んでいます。
啓発活動では、これまでの5年間の活動をDVDにまとめた「富士山の森づくり~協働による100年の森づくり」が林野庁、国土緑化推進機構が後援する第2回森林環境教育映像祭の長編部門で銅賞を受賞しました。同映像祭は森・林・木や森林ボランティアに関わる教育、指導用教材の森林環境教育全般への普及、教材の充実・向上を目的として10年にスタートしたものです。受賞作品は、木材・合板博物館(東京都江東区)で随時視聴可能で、より多くの方に「富士山の森づくり」を知っていただける機会が増えました。
また、本年6月1日には、一昨年、昨年に引き続き、地元山梨の甲府市立甲運小学校の3年生66名が校外学習でシカ害防止ネットの取り付けやネイチャーゲームなどを体験。さらに翌々週の10日には同校でフォローアップ授業を行い、富士山や国内外の森林の現状について理解を深めるプログラムを実施しました。今後も啓発普及活動を行ったり、プロジェクト地を活用してこの地に合った森の活用法を探るなどしながら、豊かな森林を育むべく取り組んでいきます。

シカ害防止ネット付けの体験後に行われたフォローアップ授業
第2回森林環境教育映像祭銅賞の賞状

国際セミナーで事例紹介 協働によるオイスカの森づくり

2月5日、宮城県仙台市の仙台国際センターで開催された国際セミナー「自然災害における森林の役割と森林・林業の復興」(林野庁主催)で、オイスカの緑化技術顧問・清藤城宏が〝協働による「富士山の森づくり」と「海岸林再生プロジェクト」について〞事例を紹介しました。

「富士山の森づくり」について説明をする清藤緑化技術顧問

昨年の東日本大震災をはじめ、世界で自然災害が頻発している中、森林の減災機能に対する関心が高まっており、このセミナーには、環太平洋諸国と周辺国の行政官、国内外の国際機関や企業、NGO関係者ら約150名が参加し、自国の環境や実情に合わせた森林造成について真剣に議論しました。
オイスカはNGOとして政府を補完する立場で、企業や林業事業体、自治体などと連携し、互いの強みを引き出しながら「富士山の森づくり」を推進してきたこと、そして震災後はその経験を活かして「海岸林再生プロジェクト」をスタートさせたことなどについて発表し、参加者の関心を集めました。同時に会場の入口で「海岸林再生プロジェクト」の活動紹介パネルの展示を通じて海岸林再生の重要性をアピールし、プロジェクトへの支援を呼び掛けました。

防潮堤の上からわずかに残る海岸林を望む外国人記者ら

また、セミナーの前日にはブラジル、アルゼンチンなど中南米からの記者10名が名取市を訪問、「海岸林再生プロジェクト」の現場責任者が海岸林の被災状況や今後の再生に向けた計画などを説明しました。熱心にメモをとり質問する姿から、東日本大震災の教訓を国に持ち帰ろうとしている様子がうかがえました。

「富士山の森づくり」推進協議会 平成23年度「モニタリング報告会及び総会」開催

2012年2月20日 ( カテゴリー: 国内ニュース )

2月20日、東京・代々木の国立オリンピック記念青少年総合センターで、「富士山の森づくり」推進協議会の平成23年度「モニタリング報告会及び総会」が開催されました。23年度は「富士山の森づくり」10年計画の5年目の節目に当たることから、これまでの活動を振り返ると同時に今後の方向性について話し合われました。
初めに行われたモニタリング報告会では、植林地の調査・研究を行っている富士森林施業技術研究所の松崎誠司氏より、苗木の成長の様子やシカの食害状況などについて報告がありました。苗木は約85%が育っており、広葉樹の植栽事例としては極めて良好な結果と言えますが、シカの食害から苗木を守り、健全な森を育むために、今後はネットの設置などの対策が必須となることなどが示されました。

オイスカ本部啓発普及部・長野より、平成23年度の活動について報告。参加者も興味深く耳を傾けていた続いて総会では、23年度の活動報告及び24年度の活動計画、今後の「富士山の森づくり」の方向性について発表があり、これまでの活動記録として作成した本とDVDも紹介されました。また、本協議会会長・進士五十八東京農業大学名誉教授による「自然再生の理念と基本」と題した講演は、森と人との関わりについて改めて考える機会となりました。
今後も植林地の管理を継続していくとともに、人と森の触れ合いを通じて森を活かしながら、森を守り、さらに豊かにしていくためのさまざまな方法を模索することを確認し、協議会として新たな一歩を踏み出すこととなりました。

「富士山の森づくり」 植栽最終年を盛況に終了 新たな展開の可能性も

2011年5月28日 ( カテゴリー: 国内ニュース )

快晴に恵まれ、富士山の山頂も間近に見えた

2007年度から多くの企業、団体、行政、研究者などとともに取り組んできた「富士山の森づくり」は、今年度で予定していた植栽を終了しました。引き続き5年間は、オイスカや山梨県を含めた24の企業・団体で構成する「富士山の森づくり」推進協議会(以下、 協議会)で、苗木の生長を見守りながら、さらに多くの方に活動の意義や手法を広めていくための場所として活動を展開していきます。

今年の植栽は、まず5月28日にオルビス㈱と㈱ニコンの社員が参加して行われました。両社合わせて約150名が参加し、活動の区切りとなる植栽に汗を流しました。続いて6月4日には、オイスカの会員や支援企業、関係者が参加して植栽と、シカの食害を防ぐために、07年度に植栽した場所でシカ害対策ネットの取り付けを行いました。

今年は、オイスカが海外で取り組んできた地域開発などで関係のある在日大使館からも大使を含む7ヵ国37名の参加があり、合計272名となりました。開会式では、植栽地を管理する山梨県・森林環境部技監の安富芳森氏が挨拶に立ち、山梨県の恩賜林がご下賜100周年にあたる節目の年に、本活動のような継続した取り組みがなされていることへの感謝の意が示されました。また、山梨県が所有する富士山を含めた県有林全域で取得しているFSC認証の説明もなされました。 国際森林年である今年は、山梨県内でFSCサミットも開催される予定です。

また、6月1日には「富士山の森づくり」の新たな活動として、地元山梨県甲運小学校の3年生を対象に環境教育を行いました。これは、昨年名古屋で開催された生物多様性条約第10回締約国会議(COP10)でも同様の取り組みを行った㈱ニコンと協働で実施したもので、環境教育を専門とする講師の協力を得て行いました。カメラを1台ずつ持った子どもたちが植林地で講師から与えられたテーマのもとに、 生物のつながりを意識しながら自由に写真を撮影。その姿からは、 自然とのつながり、生物多様性を理解するきっかけとなったことがうかがえ、今後の植栽地を活用した取り組みのヒントを得ることができました。

植栽を終えた「富士山の森づくり」の取り組みは、植栽後の苗木の管理、環境教育の可能性の模索など活動の広がりを見せています。また、山梨県が行うFSCサミットへの協力などに見られるように、多様なセクターとの協働で作られたつながりから新たな取り組みが生まれるなど、今後もさまざまな展開が期待されます。

*恩賜林
明治末期、大水害が相次いだ山梨県に下賜された元御料林の通称。下賜された御料地は約16万4千haあり、県土の約3分の1を占める。

*FSC認証
FSC(Forest Stewardship Council:森林管理協議会)は、世界中の全ての森林を対象とし、環境保全の点から適切で、社会的な利益にかない、経済的にも継続可能な森林管理を推進することを目的としている。このような森林管理がなされているかどうかを信頼できるシステムで評価し、適切な管理がなされている森林を認証する制度。

順調に育つ植栽した木に新しいシカ害対策ネットを取り付ける

国際森林年に関する説明・情報交換会にて 本部職員が国内外での取り組みを紹介

2011年3月2日 ( カテゴリー: 国内ニュース )

100名を超える参加者を前に事例紹介をする本部職員

3月2日、東京都千代田区の農林水産省三番町共用会議所にて、国際森林年に関する説明・情報交換会第2回会合が林野庁主催により開催されました。記念事業への参画に関心を有する団体、企業、報道関係者など100名以上が参加し、オイスカは 国土緑化推進機構、MOTTAINAIキャンペーン事務局、㈱スタジオジブリ、凸版印刷㈱などとともに、事例紹介を行う機会を得ることができました。

国内での取り組みとして、国際森林年の記念事業にも位置付けられている「『学校林・遊々の森』全国子どもサミットin信州」や学校林保全活動、「富士山の森づくり」を紹介。また「子供の森」計画やマングローブ植林、内蒙古沙漠化防止プロジェクトなど海外での事例も発表するとともに、 支援を必要としているプロジェクトの概要もあわせて紹介しました。

国際森林年に際して、オイスカは林野庁や 国土緑化推進機構をはじめ、多くの団体との協働を予定しています。これをオイスカの活動を広くアピールする絶好の機会ととらえ、より積極的に活動を展開していきます。