オイスカ 国内ニュース アーカイブ 2020-2016

「富士山の森づくり」推進協議会全国育樹活動コンクールで林野庁長官賞 ほか

2020年12月3日 ( カテゴリー: 国内ニュース )

■「富士山の森づくり」推進協議会全国育樹活動コンクールで林野庁長官賞

「富士山の森づくり」推進協議会(事務局:オイスカ/以下、協議会)が、全国育樹活動コンクール団体の部で、山梨県からの推薦により、林野庁長官賞に選ばれました。本コンクールは 国土緑化推進機構(以下、国土緑推)が実施するもので、森林や樹木の保全、保護などの活動を通じて、国土緑化の推進に貢献した個人や団体が自治体から推薦され、表彰されるものです。

10月17日、協議会の清藤城宏会長が、山梨県の林業まつり記念式典で賞状を受け取り、「2007年から多くのステークホルダーと協働してきた森づくり活動が広く認められてうれしい。協議会メンバーたちと喜びを共有したい」と述べています。また、推薦者の山梨県からは、「もっと早く受賞していてもおかしくなかった」、協議会メンバーの企業担当者からは、「自分たちの活動も一助となったことをみんなで喜びたい。活動が再開できる日が訪れることを心待ちにしている」といった声が届いています。

 

賞状を手にする清藤先生

なお、10年より同活動に参加してきた甲府市立甲運小学校も、山梨県環境保全功績者として県知事より表彰されました。また、国土緑推が実施する「ふれあいの森林づくり」において東急ホテルズ㈱との協働で森づくりを進めてきた丹波山村が国土緑推会長賞を受賞。さらにオルビス㈱が、「甲州市・オルビスの森」の里山再生事業で環境大臣賞(地域環境美化功績者表彰)を受賞するなど、コロナ禍で活動が制限される中、これまで各地で取り組んできた協働による森づくりが評価され、オイスカ活動の意義をあらためて共有する機会となりました。

コロナ禍でも活動が進む 「富士山の森づくり」森の成長過程を知る鳥の調査もスタート ほか

2020年10月7日 ( カテゴリー: 国内ニュース )

■コロナ禍でも活動が進む 「富士山の森づくり」森の成長過程を知る鳥の調査もスタート

山梨県で進む「富士山の森づくり」の活動地では、例年、春から秋にかけてオイスカ会員をはじめ、富士山の森づくり推進協議会に参画する企業・団体からボランティアが、苗木のメンテナンスや除伐といった育林作業を体験しています。2019年度は10企業・団体、約880名がそうした活動に参加しましたが、今年は新型コロナウイルス感染拡大の影響でボランティア活動の中止を余儀なくされているため、地元の林業者の協力を得て、必要な育林活動を継続しています。7月12・13日にはボランティアにて行う予定だった鳥類調査を、山階鳥類研究所の森本元氏の指導のもと、オイスカスタッフのみで行いました。これは、今年度新たにスタートした取り組みで、植栽エリアの10地点で鳥(ウグイス)のさえずりを判別することによる個体数調査を行い、その数の変化を年々追いながら、森の成長過程を考察するのが目的です。参加したスタッフは「鳥になじみはなかったが、静かに耳を澄ますとウグイスやカッコウ、そのほかさまざまな鳥や生き物の声を拾うことができた」と話し、森をすみかとする生き物への興味が湧き、自然への意識の変化を感じたといいます。

じっと耳を澄まし、ウグイスのさえずりから個体数を数える

また同22日には、オイスカ四国研修センターと中部日本研修センターのスタッフ・研修生ら約20名が活動地を訪れ、除伐作業を行いました。作業時もマスクを着用し、間隔を空けるなどの工夫をしたほか、道具の消毒を徹底するなど、新型コロナウイルスの感染予防対策を講じての活動となりました。初めてノコギリに触れるという研修生もいましたが、指導員に「先生、これはどうしますか?」などと質問をしながら一生懸命作業する姿が見られました。中部日本研修センターの研修生ライは、「私の国フィジーでは、木を切っても植えることはない。富士山では木を植え、その木がしっかり育つように管理を行っていて勉強になった」と感想を述べました。この日は、雲がかかってしまい、山頂を拝めなかったものの、研修生は憧れの富士山での活動を楽しんだ様子でした。
今回はボランティアの受け入れを中止していた中での活動となりましたが、特別定額給付金を受け取った四国研修センターの研修生らが、有意義な活用として富士山での活動を強く望んでいたことを受け、「今後の学びや帰国後の活動につながれば」との期待から実現したものです。
担当スタッフは「私たち自身も今年はなかなか現場に足を運べない。大きく育った木が風で倒れているところもあり、すぐにでも手を入れる必要があるが、自分たちだけでは限界がある。ボランティアの皆さんの力の大きさをあらためて感じる」と、これまで活動に参加してきたボランティアへの感謝の思いを深めていました。

林業のプロの指導を受けながら初めての作業に挑戦

「富士山の森づくり」 森林の活用にむけた勉強会 メディカルハーブを学ぶアロマ体験

2019年10月30日 ( カテゴリー: 国内ニュース )

活動地にあるシラベの香りを楽しむ参加者

「富士山の森づくり」推進協議会では、メンバーである企業・団体や関係者を対象に、活動がより充実したものとなるよう、毎年勉強会を開催しています。現在、協議会ではこれまで行ってきた育林作業に加え、富士山の恵みを感じることができる新たな体験プログラムの検討をしており、9月4日に開催された今年度の勉強会では、「植物の力を活かす〜メディカルハーブとしての活用〜」をテーマに、活動地に生育する植物の力に着目して、学びを深めました。

薬学博士で植物療法の普及に取り組んでいる㈱トトラボの村上志緒代表を講師に迎え、活動地にある木や植物の特徴についてお話をしていただきました。参加した約20名は、講師と共に森に入り、実際に木の幹や葉に触れたり、匂いを嗅いだりした後、植物を生活に取り入れる方法の一部を体験しました。

活動地がもともとシラベの人工林であったことから、今回はシラベの葉を活用した①エアフレッシュナー(スプレー)づくり、 ②バーム(軟膏)づくり、 ③アロマスチームを体験しました。

細かく葉を切ると甘い香りが室内に広がった

参加者は、講師の指導でシラベの葉をはさみで細かく刻むなどの成分抽出の工程を行い、枝葉から出る甘い香りに驚いていました。また、「森のために活動してあげるという考えが頭のどこかにあったが、森からの恵みを身をもって体験し、知ることで、実は森づくり活動は人から森への恩返しで、相互に助け合う活動だと感じることができた」といった感想も寄せられました。

今回は初の試みとなり、今後、実際の活動プログラムとして発展させていくにはまだ課題もありますが、新たな可能性が確認できた勉強会となりました。森林整備だけでなく、引き続き森林の持つ機能や力に目を向けながら活用を進め、共存を目指した森づくりを行っていきます。

国内環境推進事業 多様化するステークホルダーと 山で、都市で、森づくりを推進!

2019年4月2日 ( カテゴリー: 国内ニュース )

22の企業・団体から36名が参加して行われた

今年度から政府は新たな森林経営管理制度をスタートさせるなど、日本国内の森林を取り巻くさまざまな仕組みが大きく変わろうとしています。そうした中、国連が掲げる持続可能な開発目標(SDGs)の達成を目指す企業や団体などの森林関連の活動への関心も高まりを見せています。SDGsの17の目標の中には、自然環境に関わるものも多く含まれており、国連森林フォーラム(UNFF)が採択した「国連森林戦略計画2017―2030」によると、森林に関する活動は、14の目標達成に寄与することができると示されています。

2月27日に開催された「富士山の森づくり」推進協議会の総会でも、SDGsの考え方と企業の取り組みをテーマにした、at knotの檜山綾香氏の講演が行われました。檜山氏は、SDGsの達成に向けた貢献をするためには、参画企業がCSV(Creating Shared Value=共通価値の創造)の視点に立ち、それぞれの事業(本業)とのつながりを意識し、互いに有機的な関係性を築いていくことが重要であると述べました。また、清藤城宏会長は、台風による倒木被害の発生と いった厳しい状況に触れながらも「富士山の森づくり」は、森林や生態系の保全にとどまらず、SDGsのうち12の目標の達成にもつながる重要な取り組みであることを強調。推進協議会で一致団結して、引き続き活動をしていくことが確認されました。

インストラクター養成講座では、小さな子どもたちがどのように遊ぶのかを間近に見ることができた

一方、オイスカでは、森林を持たない地域においても、その保全に寄与できる取り組みとして「森のつみ木広場」(以下、広場)を展開しており、2月23日には東京都品川区におけるインストラクター養成講座を開催しました。この日使ったのは、同区が所有する山梨県早川町産材のつみ木1万個。これは、「ふるさと交流協定」を結ぶ早川町から、締結25周年を機に贈られたものです。品川区では、これまでオイスカと連携をして広場を開催してきましたが、地域の力でさらに活動の裾野を広げたいとの思いから今回の養成講座が実現しました。地域に密着して子どもの生活を見守っている区内の児童館の職員を中心に、今年度「赤ちゃん木育ひろば」事業で木育おもちゃセットの寄贈を受けた区内の子育て支援グループのメンバーなどが参加しました。

講座の前半は、担当スタッフから日本の森林の現状や直面している問題、また広場がその解決の一助となる仕組みなどについて説明がなされ、活動の意義を理解してもらいました。続いて行われたつみ木のシャワーに始まる広場の体験には、会場となった水神児童館に遊びにきていた小学生らも加わり、さまざまな作品が完成。大人にも子どもにも広場の楽しさが伝わる講座となりました。

「富士山の森づくり」 台風被害から植栽木を救え!緊急ボランティア活動を開催

2019年2月1日 ( カテゴリー: 国内ニュース )

根から倒れ、植栽木をなぎ倒してしまったシラベの大木

2007年にスタートした「富士山の森づくり」は、〝協働による100年の森づくり〞を目指し、企業や自治体をはじめとする産官学民の28団体が「富士山の森づくり」推進協議会(以下、協議会)を立ち上げ、活動を進めています。

例年は春から秋にかけて、各団体がそれぞれに参加者を募り、下刈りやモニタリング調査などを実施していますが18年度は、度重なる台風の襲来や荒天により、予定していた作業を変更、あるいは中止せざるを得ない状況が続くなど、新たな問題に直面しました。さらには、日本各地で被害をもたらした9月下旬の大型台風の影響により、富士山全域で倒木などの被害が発生し、オイスカの活動地も例外ではありませんでした。特に風の強かったエリアでは、60年生シラベが倒れ、植栽木を直撃しているものや、プロジェクトで植栽した木が獣害対策ネット(以下ネット)と共に倒れるといった被害に見舞われました。冬の積雪による2次被害の発生、植栽木の枯死が予想されたため、12月12〜14日、植栽木のネット補修作業の緊急ボランティアを行いました。

ボランティアには、「富士山の森づくり」の担当者を中心とするオイスカ本部職員のほか、協議会メンバーである信濃化学工業㈱の社員や㈱小林林業土木の林業者などのプロも駆けつけ、ネット補修作業に加わりました。こうした動きを受け、山梨県も理解を示し、活動地に倒れている木の処理を行ってもらえることになりました。担当職員らは「普段は活動への参加者の安全管理などのサポートをする立場にあるため、ひたすら作業に集中したのは初めてのこと」と話し、 この体験を通じて得ることができた参加者の視点を強みとし、 今後の充実した活動につなげたいと意欲を示しています。

今回は、特に被害が大きく、緊急を要する場所で450本のネットを補修しましたが、まだ助けを必要とする植栽木は多数あります。今後もボランティアの協力を得ながら、1本でも多くのネット補修を行い、植栽木を救う活動を進めていきます。

オイスカ・インターナショナル 東京で国際理事会を開催 富士山の森づくりの活動現場視察も

2018年11月5日 ( カテゴリー: 国内ニュース )

オブザーバー参加する青年らの姿も見られ活発な意見交換がなされた

オイスカ・インターナショナルは、10月11・12日、国立オリンピック記念青少年総合センターで国際理事会を開催、15ヵ国から約100名が参加しました。今年は国連が掲げる持続可能な開発目標(SDGs)のフォローアップを主軸においた、食糧・教育・地域づくりのテーマ別に各国の取り組みの成果共有を行い、SDGsの達成へむけた活動推進への理解を深めました。12日には3つのグループに分かれた討論会を実施、よりよいパートナーシップの構築や持続可能な共存共栄のために何をすべきかといったテーマで活発な意見交換が行われました。中でも、SDGsの目標にも掲げられているグローバルパートナーシップの活性化に関しては、プロジェクトを行う国や地域の政府との連携強化の重要性について指摘をする声が多く上がったほか、オイスカの取り組みをモデルケースとして広く紹介することで、歴史が浅い小規模な地元NGOの能力開発への貢献も可能となるといったさまざまな意見が出されました。

全ての苗木に獣害対策のネットが設置されていることに驚く様子も見られた

また、今年はオプショナルツアーとして希望者を対象に、山梨県で進む「富士山の森づくり」の活動現場を訪問。これは、毎年各国の報告がなされる中で事務局に寄せられていた、日本国内における取り組みを視察したいとの要望に応え、山梨県支部の協力を得て実施したもので、会議を終えた12日、36名が山梨県に向かいました。翌13日、森林の所有者である山梨県森林環境部県有林課の鷹野課長、森林総合研究所の長池主任研究員、オイスカの清藤緑化技術顧問などの引率で、これまでの活動地を視察。世界的に有名な富士山でのプロジェクトだという点で関心を持っていた参加者らも、100haにおよぶ規模で、植林やその後の管理作業に、自治体や企業などさまざまなステークホルダーが協働して継続的に取り組んでいること、また生物多様性に配慮した複数の郷土樹種の植林や調査・研究に基づいた育林活動手法に驚く様子も見られました。「帰国後、自分たちのプロジェクトの参考にしたい」といった声が聞かれ、活動の意義を深く理解した様子でした。

富士山の森づくりに160名が参加 新たに生育調査活動がスタート 継続参加の支部の表彰も

2017年8月8日 ( カテゴリー: 国内ニュース )

植栽も体験したという調査チームの参加者からは「植えた木の成長が確認できてうれしい」との感想も聞かれた

7月8日、「富士山の森づくり」のボランティア活動に企業やオイスカの各支部などから160名が参加しました。今年度から第2期に入った同事業では、植栽木の生育調査を新たにスタートさせ、当日は調査と除伐(※)を行う2チームに分かれて作業を行いました。樹高や根元の太さなどの計測、記録を行った調査チームからは、「樹種による成長の違いが分かった」といった声が寄せられました。
 また除伐作業では、自分の腕の太さほどにまで成長した木をノコギリで切り倒すことに当初は戸惑っていた参加者も、次第に森が明るくなり、 覆われていた植栽木の姿が見えてくると、「除伐の目的がよく理解できた」と、効率よく作業を進める様子が見られました。作業後に行われた閉会式では、毎年多くの会員が参加している福島県推進協議会、首都圏・長野・静岡の各支部に感謝状が贈られました。今後も健全な森の再生を目指し、全国の多くの方々の参画を得ながら活動を進めていきます。

※育てようとする木の周辺に生え、その健全な生育を阻害する木を伐採する作業

 

「富士山の森づくり」推進協議会  協働の10年を振り返るセミナーを開催 第2期開始を前に〝恵み〞を共有

2017年5月8日 ( カテゴリー: 国内ニュース )

会場となったイトーキ東京イノベーションセンターSYNQAには70名ほどが集まった

2007年の活動開始より企業・団体や行政、研究者や林業者などの産官学民が協働で進めてきた「富士山の森づくり」。10年間の取り組みを振り返り、その成果を共有し新たなステージにつなげようと、2月20日に「協働の森づくりセミナー『富士山100年の森づくり』、私たちにとっての恵み」が開催されました。
セミナーでは、世界の森林文化に造詣の深い成蹊大学の廣野良吉名誉教授が基調講演を行い、「世界文化遺産でもある富士山での活動は、日本のみならず世界に発信することが重要。年間260万人の観光客をも巻き込んで、世界の財産を守る取り組みとして推進しては」と提案がなされました。参画企業の担当者からは、共通の社会課題の解決に異業種で取り組むことで、より大きな成果が得られるといった協働の意義のほか、社員の社会貢献意識の向上など、活動を通じた成果を〝恵み〞として共有しました。
第2期に入った「富士山の森づくり」。今後も多くの人の手で保育作業が続いていきます。

「富士山の森づくり」 100年の森づくり実現に向けて 2015年度総会開催

2016年5月7日 ( カテゴリー: 国内ニュース )

「富士山の森づくり」推進協議会の2015年度の総会が2月23日、三菱UFJファクター㈱を新たなメンバーとして迎え、16の協力企業・団体より35名の参加を得て開催されました。

調査報告を行う専門家チーム

 16年度に活動10年目を迎えるに当たり、これまで現場の調査を続けてきた専門家チームからなされた報告によると、強風や大雪といった過酷な環境の中でも、少しずつ理想とする森の姿に近づきつつあることが分かりました。そのような成果が示される一方で、これまでの活動は「森の時間」から見ると「はじめの一歩」であり、今後も「100年の森づくり」を目指して関わり続けていくことの意義が強調されました。
 事務局を務めるオイスカとしても、植栽を終えてプロジェクトが完了するのではなく、協議会として10年目以降もこの地に足を運び、森を形成していく過程に寄り添う活動を続けていきたい旨を発表し、盛会裏に閉会しました。