ガンジス河流域村における水・土・森の自然資源共生型農業技術普及による持続可能な生計向上支援プロジェクト【JICA草の根技術協力事業】
期間:2023年10月~2027年10月(4年間)
ガンジス河とかかわり合う生活
プロジェクトの活動地であるインド、ウッタル・プラデシュ州のヒンドゥー教の聖地、バラナシは、インド東北部を流れるガンジス河流域に位置しています。
同州はデリーなど近郊都市の食糧供給を担う農業州であり、バラナシの農村部では9割以上の人々が農業に従事しています。その反面、農業以外の生計手段が少なく、収入向上が難しい状態です。
さらに、農業用水の水源となるガンジス河やその支流の汚染は深刻で、土壌を劣化させ、農作物の収穫量や質にも影響を与えているだけでなく、下痢や感染症の増加など、人々の健康にも被害が及んでいます。
一方、農業で使用される農薬や化学肥料が土壌や河川の汚染を引き起こしている側面もあります。また、ウッタル・プラデシュ州の森林率はインドの全国平均と比較して低く、水・土・森の健全な循環がなされていません。
住民が自然環境と自らの生活とのかかわりを理解し、生計向上と生活環境を改善していくことが求められています。
バラナシを流れるガンジス河
生活を豊かにする水・土・森の保全
そこで開始したのが、本プロジェクトです。主な取り組みは、①竹炭を活用した環境負荷の少ない農業技術の導入、②森林再生と保全が一体となった果樹・ハーブ栽培、③住民の自然資源の保全・持続可能な活用に関する理解と意識の向上です。
竹炭は土に混ぜることで水分や肥料分を保持したり、微生物の住処となったりするなど、土壌を改良する効果があります。これによって、化学肥料や農薬の使用を減らし、土壌や水の汚染を防ぎながら、質の良い作物をつくれるようにします。また、作物の販路開拓も併せて行います。
果樹・ハーブの栽培は、2つの目的を持って行います。ひとつは森林保全の啓発活動として、植林やその後の管理を住民と共に行います。もうひとつの目的は果樹・ハーブ栽培による生計向上で、剪定技術なども取り入れることで、収穫量の増加を目指します。
こうした取り組みは住民が主体となって行うことで、持続的に活動をすることができます。そのため、河川の汚染状況や影響、環境保全の必要性、これらの取り組みによってどのように生活が改善されるのか理解を深めるための住民向けセミナーの開催や教材の作成も行います。
畑に竹炭を撒く
近況・今後の方針
プロジェクト3年目となり、活動を行っている3つの村すべてに竹炭をつくるための窯の設置が完了しました。炭づくりの実践も重ね、徐々に現地の住民たちで炭をつくり、畑に散布し、作物の成長記録を取ることができるようになりました。竹炭を使った栽培に関心を持つ農家も増え、果樹の植林やセミナーなどの実施を通して、少しずつ活動に対する理解も広まっています。
今後は、竹炭を活用した栽培を拡大し、計画を立てて作物を販売をする段階になります。その中で、果樹の植林や栽培方法の改善、竹炭を含む自然資源の活用の幅を広げるなど、環境保全と持続可能な農業技術の知識・理解を高めていきます。その一環として日本での研修も行い、炭の活用や生活に関わる森林保全の取り組み、自然共生型の農業について学びを深め、住民たちによる取り組みを活発で持続的なものにしていきます。
竹炭を撒いたトウガラシ畑