主婦の能力強化を通した地域の生活改善と生計向上支援事業【N連】

農村女性のエンパワーメントより地域の生計向上を目指す

期間:2015年3月~2018年3月(3年間)

<経緯>
 企業より助成を受け、西ジャワ州スカブミ県チクンバル郡で以前より先行して行なわれていた農村女性のエンパワーメント事業の拡充を目指して行われた事業です。

 首都ジャカルタから約100kmの場所に位置するスカブミ県は、農村以外の産業が発展していない地域です。その結果、近年の開発にも取り残され、近隣の都市との格差は、最低賃金からみても明らかなものです。本事業は、そんな同県の農村貧困地域に住む特に貧しい5村300世帯の主婦層を対象に、生活改善の知識・方法を学ぶ講習会を、外部から講師を招聘して開催し、栄養改善ポスターなどの利用、またごみの分別を通してコンポスト・リサイクルなど、多様な啓発活動が計画されました。
 さらに、農業研修・定期巡回指導をうけながら家庭菜園、および共同菜園活動に取り組むことで、自家消費用、また加工食品用の材料・販売用として、家庭の生計の一部を支える手段を得る、ということに目標が掲げられました。
 また、上記事業に併せて、日本より専門家を招き、食品加工の技術や、安全や健康を意識した食への学びを深め、実践することで、地域の健康意識や所得水準が向上することを目指しました。


<成果>
 3年間の成果として、1年目より5つの村ごとに分けられたグループを基盤に、協同組合というかたちで、組織化を行い、受益者である主婦たちは、現在も継続して自主的に活動に取り組んでいることが確認されました。同時に家庭菜園も続けられ、自家消費や加工、販売用として扱い、特に野菜の自家消費は100%に達しています。
 さらに、健康に対する意識も向上したことで、特に育ちざかりの子ども達にとって大切な朝食の摂取もこれまであまり重視されていなかったが、本事業による啓発を通して、90%以上がそれを維持するなどの成果も上がっています。
 また、既存の販売所の増築整備や販路の拡大、農産物・加工食品、またごみの分別を通して行ったごみ銀行からの廃棄物を通して、受益者の収入がベースライン調査時の15%以上あがる、という成果を確認できました。
 このような成果により、本事業の取り組みは周辺地域の行政や住民からも注目され、中央政府から分配されている村落地域住民エンパワーメント支援費を活用し、他地域の女性グループが本事業と一部同様の研修に参加するなど、ロールモデルとしての役割を果しており、その功績を称える賞が授与されるなどの活躍の様子が見られます。

食品加工活動

ごみ銀行の活動